ジェロニモ君

1998年8月19日(水)


曇、気温14度、ちょっと肌寒い。しかしジェロニモ君は今日も元気であった。


盲腸糞これはナキウサギの盲腸糞。ナキウサギは疑反芻動物で、自分の糞を食べる。とは言っても全ての糞を食べる訳ではない。コロコロ丸い奴は本当の糞で、食べる糞は粘膜に包まれたような細長い柔らかいものだ。大抵はすぐに食べてしまうが、貯蔵も利くらしい。写真は出したてのほっかほかのもの。湿気が多くなければ、湯気が立っていたことだろう。



今日は休日程ではないものの、割と人が多かった。ガレ場で良く顔を見るオヤジがいるのだが、写真そのものよりも機材が好きという、ありがちなタイプである。まあ自慢話の種は尽きないらしく始終しゃべり通してるのだが、どう見ても嘘臭いのである。少なくとも写真の腕は酷いと想像できる、というのも今日彼の虎の子ニコンAF−S500mmF4という最新型のレンズだがフードが曲がって装着されていたからである。あれではきっとケラレているだろう(画面の一部がフードに邪魔されて暗くなることを「ケラレ」という)。 見てる方が恥ずかしかったのだが、彼は現像上がりを見てもケラレに気づかないかもしれない、と思うと、なんだか複雑な心境になるのは私の修行不足だろうか。


私はガレ場の隅の方で形の良い岩一つだけを狙って、そこにナキウサギが来るのを延々待っていたので、他の岩にナキウサギが出てもシャッターを切らなかった(ちなみに上の二枚は帰りしなに撮ったものだ)。私の隣に三脚を構えたかなり年輩の男性は、近くにナキウサギやシマリスが出るたびに、しきりに私に「今の撮れた?」とか「何で撮らないの?そんな大きなレンズなのに?」とかうるさく聞きまくり、しまいには私のレンズを真ん前からのぞき込み、あろう事か指まで突っ込まれてしまった。
最初のうちは当たり障りのない受け答えをしていたのだが、これにはちょっと参ったので以後話を止めたら、手持ちぶさたになったのか自分の鞄からサキイカの袋を取り出した。あの堅いビニール袋に入った珍味である。当然「バリバリバリ」っとうるさい事この上ない。こういう甲高い音は大抵の動物は嫌いなものである。延々音をたて続けるのでいい加減注意しようとしたら、

「ブー」

という茶色い音が...おいおい...

「ブッブッブ〜」

更に連発でヤルでわないか。私は戦意を喪失した。君子臭きに近寄らず、臭いものには蓋といふではないか。私はその日早々と撤退した。勘弁してください。


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鹿川 伊知郎(Ichiro Shikagawa <shikapon@jiru.com>)
Julius Guilbert Trading Co.
Memuro, Hokkaido, JAPAN
Last Modified : Aug 24, 1998