1998年8月15日(土)朝


土曜日である。週末である。お盆である。ガレ場がどういう状況になっているのか容易に想像できたはずなのだが、そこは長雨でジリジリ待たされた悲しさである。出かけてしまったのである。馬鹿である。


午前5:00到着。先着は一人だけ。天候は霧の濃い曇り。気温18度。ガレ場では殆ど霧雨となっている。


本日のジェロニモ君

相変わらずボロボロなジェロニモ君であった。もう少し手入れしてもバチはあたらないと思うのだが、まあナキウサギの世界も性格は十匹十色?という事なのだろう。


ジェロニモ君、朝御飯。草木にもお気に入りがあるらしく、人がいようといまいと、決まった場所で採食する。住みかはガレ場のかなり上のほうらしいのだが、わざわざ遠く下の登山道まで食べにくる。ガンコウランが特に好きらしいのだが、いたる所に生えていて私には違いは分からない。結構こだわり小僧のようだ。


これはじぶんちに枝を運ぶ途中。目立つのが自分でも分かるのだろう、このように立ち止まっては周囲を警戒している。しかし何度も立ち止まらないで巣を目指した方が天敵には食われにくいような気もする。


さて、ジェロニモ君の朝御飯が終わるのが大体朝の6:00前後である。7:00頃から急に人が増え始め、8:00ごろには辺りは三脚だらけになってしまった。大声でわめく奴、三脚を岩の上に放り投げる奴、そして岩の上に餌を置いてシマリスをそこに呼び寄せ写真を撮ろうとする奴。最初の餌付け野郎に注意する。「はあ」とかなんとか言いながら取りあえず止めるものの、運が悪い日だ位にしか感じていないのが見え見えである。更に後から来て、いきなり餌やりを始めた奴にも注意すると、珍しく言い返して来て、「ここのはもう慣れちゃってるからいいんだよ」とか訳の分からない事を言う。だったら麻薬常習者に更に麻薬を与えても、「もう既に中毒だからいいんだよ」って言うんだな?それにリスが獲物を埋めるから止めろ、と注意を続けたら、「これは種じゃない」とか勝ち誇ったように手の中の餌を見せびらかした。なんと菓子パンだ。馬鹿にも程がある。毒薬もいい所じゃないか。こいつには理屈をいくら言った所で聞きはしないだろう。昨今の中学生ではないが、さすがに私もキレた。「やるなっつーとるんじゃ、ボケ!」こういう時は10年程度の修行しかない関西弁でも役に立つ。大阪の後輩なんかに言わせると私のは全然関西弁じゃないそうだが、幸い北海道には区別の付く人はあまりいない。相手は黙り込んで餌やりを止めたが、こちらも全く不本意である。結局説得できなかった訳で、このオヤジは今後も餌付けを繰り返すだろう。

結局この日は9:00前に引き揚げた。陰鬱な気分だった。怒鳴った時点で私の負けだったのだから。帰ってから色々考えたのだが、餌付けする人を見かけたら一切注意せず、「なぜ餌付けがいけないか」を説明したカードとかを渡すのはどうだろう、程度しか思いつかない。これも今日みたいなオヤジには通用しないだろうなあ。なにかこうパキッとした手はないものか。うーん。


写真と文中の人物とは関係ありません。(笑)


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鹿川 伊知郎(Ichiro Shikagawa <shikapon@jiru.com>)
Julius Guilbert Trading Co.
Memuro, Hokkaido, JAPAN
Last Modified : Aug 19, 1998